社説
領収書添付を義務付けたことで、これだけ変わるとは驚きだ。これまでがいかにずさんだったかを物語るものだろう。
公表された二〇〇七年度の県議会の政務調査費収支報告書のことである。政調費は県議の調査研究に必要な経費の一部として県が交付する公費だ。政策について研鑽(けんさん)を深め、県政と県議会の活性化につなげることを目的とする。
県議個人には月額二十六万四千円、会派には所属議員一人当たり六万六千円の政調費が支給されている。総額は年間約二億円に上る。適正な使用と透明性が求められるのは当然である。
だが、〇六年度までは領収書の添付の義務はなく、使い方は県議の良識に任されていた。それが昨年の条例改正で「一円以上のすべての支出について領収書が必要」とされた。試されたのは県議の良識である。
交付された政調費を全額使い切った県議が、〇六年度の四十七人から二十八人と大幅に減った。使い切れずに県議から返還された残額は九百六十万円で三倍にも増えた。
〇七年度に特別な事情があったとは思えない。返金が増えたのは「領収書の威力」だろう。従来の使途には政調費からの支出にそぐわないものが多く含まれていたということだ。少しは霧が晴れた格好である。
ただ、政務調査活動の範囲を県議個人の解釈に任せたため、個別の支出ではあいまいな部分が多い。人件費や事務所費などの「固定費」の割合が高くなっているのだ。
本当に調査研究に必要な「固定費」だったのか。領収書が出しやすい「固定費」が多くを占めただけではないのか。使途基準を明確にしなければ、底まで見える透明性は確保できない。
肝心の調査研究費は人件費の半分以下の二千二百万円である。どんな「調査研究」をしているのか。成果を県民に示したのか。目的と成果が明示できなくては調査研究とは言えまい。
また、ビラ作製、配布などでの議会活動報告が「広報費」として三千万円にも及ぶ。真摯(しんし)な調査研究の結果報告ならいい。だが、単なる選挙対策や後援会員向けに政調費を充てることが妥当かどうかだ。「広報」の中身が問題となろう。
政調費は二〇〇〇年に地方自治法が改正され、各自治体の判断で導入された制度である。地方分権などに向けて地方議員も「もっと勉強しなさい」ということだ。
県議は政調費を創設した本来の趣旨を忘れてもらっては困る。透明度をさらに高める努力は当然だが、調査研究の在り方や金額などについての論議も深めてもらいたい。
[新潟日報8月4日(月)]
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